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2018年11月10日 (土)

フッサール心理学(53):長門有希は輪廻転生の夢を見るか

■見えてきた!長門有希の避けられない運命......

 ブログの5つ前の記事「フッサール心理学(50)」で私は、こう書きました。

「ロボットのようなコミュ障状態から始めて、キョンら仲間たちとの交流を通じて感情を獲得し、しだいに成熟した人格を形成してゆくという、生きた実験室が長門有希なのです。そして、もしこの実験が成功すれば、それが情報統合思念体にとって、新たなる自律進化への可能性を拓くことになるのではないでしょうか。」

 ところが、よく考えれば、ここには長門の悲壮な運命が暗示されているように思われます。それに気づいたのは、『涼宮ハルヒの消失 公式ガイドブック』中の演出家座談会で、次のくだりを読んだ時の事です。

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石原(立也) 今回の『消失』は、新しい長門が生まれる話だと思うんです。長門が成長していくことで、普通の人間に近付いていく。もしかしたら、進化の袋小路にぶつかった情報統合思念体が探している進化の可能性って、人間になることじゃないかな。まあ、原作者の谷川流さんに確認していない、僕の想像ですが。

高雄(統子) 石原さんがおっしゃったように、長門は情報統合思念体のヒューマノイド・インターフェースだから永続性があるはずなんです。でも、ただの女の子になることは、その永続性のサイクルから抜け出すという意味でもあるわけで、彼女が死を獲得するということだと思うんです。

石原  すごいことを言うね。(p.109)
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 そう。長門は死を獲得する。でも、不死のはずのヒューマノイド・インターフェースが本当にただの女の子になったかどうかを自他ともに確認するには、実際に死ぬことしかないのではないでしょうか。ここで私はどうしても、キョンとハルヒの成長物語という幹(=メインテーマ)に絡み付いたアンドロイドの自我の目覚めというサブテーマの結末は、彼女の死しかありえないと思われてくるのです。

 長門よ、キミにハッピーエンドは似合わない。

 想像は容易です。長門はキョンとハルヒを、敵性宇宙人九曜の魔手から守って、自己犠牲的な死を遂げるのです。それによって人間になったことの証しを立てるのです(画像は敵性宇宙人九曜の攻撃で病に倒れた長門有希。『涼宮ハルヒの驚愕(前)』(角川書店、2010、p.17)より)。

Haruhi_kyogaku_nagato_0810

 でも、それでは自律進化は始まりません。進化は遺伝子を残さないことには生じません。しかも、彼女が「色のない世界で見つけた You are star」(長門有希キャラソン『雪、無音、窓辺にて』)とまで歌い上げたキョン以外に愛の相手はありえなかったのです。ところが、キョン(=王子様)の心はすでにハルヒ(=人間の王女様)のものでした。元アンドロイドではかないっこなかったのです。

 このジレンマを、けれども、銀河を統括する情報統合思念体は、もうひとつの方法で打開します。そう、生物学的に個体が滅んで遺伝子を残すだけが自律進化の手段ではありません。もう一つの手段があります。それは‥‥

 輪廻転生することです。

●<とりあえずパソコンを閉じて寝ます。この巻続く 乞う、ご期待!>●

 

■付記 ハルヒシリーズファンにそっと秘密ネタを教えます‥‥

 下記の『人文死生学宣言』という本の執筆陣には、「消失世界」で涼宮ハルヒと古泉君が進学した高校のモデルとなった学校の先生が加わっています。
 今度会った時にでも、2003年ごろに涼宮ハルヒと古泉一樹という生徒が在籍していなかったか、尋ねてみるつもりです。
 もし在籍していたら、この現実世界とは「消失世界」であり、長門有希は世界を改変したのではなく元に戻したのであり、ハルヒの力によって宇宙人製有機アンドロイドにされていた自分を、元の人間に戻したのだという、「長門戻った説」(三浦、2018、p.161)が正しいことになるのです!?
●●●『人文死生学宣言:私の死の謎』(渡辺恒夫・三浦俊彦・新山喜嗣/編、春秋社、2017)好評発売中●●●

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