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2017年12月15日 (金)

夢の現象学(134):地平(Horizont)を備えた夢の巻/サルトルの夢理論(その2)の巻

■フッサール現象学でいう地平(Horizont)を備えた夢を見た。

 右手に林が続くひらけた場所にいた。地面は左手に向かってやや傾斜し、その果てには池か湖の面があるようだった。

 あたりは騒然としていた。世界中が騒然としているようだった。宇宙人の侵略らしいのだった。

 色々な出来事があったが、枕元のノートを手にした時点ですでに、忘却の地平の彼方へと退きつつあった。

 最後の場面では、斜め上の方角に進めばひかくてき安全なようだと分かったので、その方向へ進んで行った。夕闇が下りつつあった。暗い中に、死体が散らばっているのが見分けられた。中に生き残ったらしい女の子もいた。「この辺も、宇宙人のエージェントがひそんでいるから(という情報が入ってきていた)、油断できない」と思いながら、林の縁を進む。

 このあたりで目が覚めた。7時ごろだった。

■メモを取りながら、 この夢には地平がある、と思った。

 地平(Horizont)とは、後期フッサール現象学の重要な用語で、視界を限界づける地平線まで行くとまた新たな地平線がひろがる、というように、体験世界の現実的有限性と可能的無限性を併せて表現できる、魅惑的な語だ。今、読んでいるサルトルの"Imaginaire"によると、夢には世界(le monde)がない、という。「世界」とは、ハイデガー由来の「世界内存在」の「世界」のことで、ここではフッサールの「地平」とほぼ同義に使われている。

 ところがこの夢には地平がある。夢の前半は、忘却の地平の彼方へと退いてしまっているのだから。

 こんな場合、しつこく思い出そうとすると、以前の別の夜に見た夢記憶の断片が、思い出されることが多い。つまり、新たな地平がひらかれるのだ。想起された夢断片は、より大きな地平を背景としているのだから。

 こう考えてみると、一昨日ー昨日ー今日、という現実記憶の連鎖をもとに構成された現実世界の地平も、夢記憶をもとに予感される夢世界の地平も、地平である限りにおいて対等であるということに、気付かざるをえない。

〇〇〇『人文死生学宣言:私の死の謎』(渡辺恒夫・三浦俊彦・新山喜嗣/編、春秋社、2700円)が、2017年11月25日から発売されています〇〇〇〇

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