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2015年9月の記事

2015年9月27日 (日)

夢の現象学(89):未来へのシミュレーションが即、現在化された例の巻

■2015年9月23日(水)。春分の日なので朝寝をしたところ、夢を見た。

 フッサール原書輪読会の日程を日曜に設定し、その日に会場である喫茶ルノアールに行ったという夢だった。

 そこは道端に木製のベンチが(しかも背凭れなしの)並んでいるだけの店だが、ほぼ、客で埋まっていた。席を立つ集団があって、幸い空席ができたが、そこに座って待つべきか迷った。結局、他のメンバーが来ていないようなので、立ったまま待つことにした。

 客の入れ替わりは激しく、グループで席を立つかと思うと新たなグループが来る、といった具合。そのうち、研究会の誰も来ないまま、目がさめてしまった。

■現象学的・認知神経科学的・分析

 前日、来月の例会を日曜にすべきか否かのメールを打ち、一人からOKの返事が来たが、他はまだ来ていないのが気にかかっていた。だから、この夢が、未来へのシミュレーションであり、予期・期待(Erwartung)もしくは、フッサール独特の言い回しで「将来想起」という、「準現在化」が、現在化したものであることは明らかだ。

  が、それならなぜ、毎月通っていてなじみの筈の実在のルノワールの情景が出てこずに、道端に並んだ木のベンチなどというお粗末な店が、ルノワールとして出てきたのだろう。

 ここで、アラン・ホブソンの活性化合成仮説を使ってみよう。

 レム睡眠が始まり後頭葉を中心にPGO波の刺激を受けることで、覚醒水準が高まり、私はいわば睡眠中に「覚醒した」のだった。

 覚醒してすぐ、入眠前に気になっていた、「来月は日曜にルノワールに行くことになるのか」、という予期・期待という志向性の作用が再開された。

 夢独自の「準現在化の現在化」作用によって、私は即、タイムトラヴェラーさながら、未来のルノアールに降り立った。

 しかしそこで、ルノワールとして見出すべく実物の店の情景が、うまく喚起できなかった。代わりに、PGO波のランダムな作用によって私の周囲に出現したのは、道端に並んだ木製ベンチだった。

 木のベンチといえば、似たものが、京大の学生時代に時々入った北白川通りの進々堂と言う喫茶にあった。あるいは、一時代前の大学の講堂の光景がもとになっているのかもしれない。

 大勢で入れ替わっていた客の姿は、モノレールで見た情景から来ているのかもしれない。

 以上のように説明すれば、準現在化の現在化と言うフッサール現象学の基本的枠組みと、ホブソンらの夢の認知神経科学的モデルとを、うまく統合できるかもしれないが。他方で、どこかに認識論的混乱の陥穽があるような気もする。

+++【お願いェブサイトにも著作権があります!引用の際はこのウェブの著者名:渡辺恒夫を明記の上、このURL名も必ず併記して下さい。+++

 

 

 

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