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2015年6月の記事

2015年6月 2日 (火)

夢の現象学(86):夢日記を書きながら現象学的考察をしている夢を見たの巻

■6月2日 夢を見た。そして夢の中でそれを夢日記に書いているのだった。

「ちょうど花びらと茎とが花を形作るように、この夢の中での‥‥は人間関係を形作る」、等と分析しながら書いているのだった(‥‥部分は思い出せない)。
 最近、現象学的考察に値するような夢を見ず、ブログにも記事を5月は一本も載せられなかったことを、昨晩気にしながら寝たので、ようやくそれに値する夢を見たと思い、勇躍して書いているのだった。けれども、「人間関係」と書いたところで、さる人が文句を入れて来て、腹が立って喧嘩になってしまった。そんな夢だった。
 けれども、こうして本当に目が覚めて夢記録を書いてみると、ほとんど何も思い出せないのには参った。
 
■紀要論文「他の誰かになる夢と間主観性」(『情報コミュニケーション学研究』No15)は、掲載版のPDFファイルが明治大学図書館の手で作成された。
 本ブログにアップロードしようとしたところ、メモリサイズが大きすぎて失敗したので、やむを得ずResearchmapの方にアップロードしておいた。「渡辺恒夫」で研究者検索をかければ出てくる業績欄に見つかるので、参照していただきたい。
 紀要論文と言いながら有難いのは、きちんと専門家による査読が行われていて、査読コメントにも参考になるものがあることだ。
 今回の査読コメントにも、このようなものがあった。
 「夢という事象を、現在化ー準現在化、現前化ー向現前化という二つの対立概念を軸に、現象学の方法を用いて体系的に考察するという、プロジェクトそのものを評価したい。/ただし、『夢』そのものが、覚醒時における想起としてしか、そもそも現前しない、という事実をどう処理するのか、という問題が依然として残る。この点を、『夢の現象学』がどのように克服するのかは、別途解明すべき問題だろう。」
 そこで、最近新たに起草した、「他者になる夢の現象学的解明」という論文では、以下の[註1]のような論理で「克服」を図ることにした。

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‥‥現実と夢とで現象学的還元は逆を向いているところがある。現実世界では花瓶が実在するという判断を停止するのに、夢テクストに現れた花瓶については「夢だから実在しない」という判断を停止するのである。この逆向き判断停止の結果は重大である。前述したウスラー(1990/1969)は、夢を現実から因果的に説明されるべき幻覚としてではなく、「夢世界」として現実世界と対等に扱うことを唱えたが、本研究でも現象学的還元の結果、「夢世界」と「現実世界」が対等に扱われることになる。二つの世界において基本的な構造が異なっていることが予想され、この構造の違いを抽出することが現象学的解明につながるであろう[註1]

 [註1]夢の現象学的考察が現実世界の側からなされる以上は対等に扱うことにならない、と反論されるかもしれないが、それは夢と現実との区別を絶対視した前提に基づいていよう。前述のカイヨワ(  /  )も言うように夢と現実を区別する絶対的基準は見出せない以上、本稿を書いているのも夢の中かもしれないではないか。その上で、本稿を書いているこの世界を「現実世界」と定義するという、現実の操作的再定義をしておきたい。このように夢世界と現実世界が操作的にのみ区別されるのであれば、対等に扱えないということにはならないであろう。

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 ここで、当然湧き起ってくる疑いは、では上記の夢のように、夢日記を書いている夢の中では、それが現実世界と定義されることになるのではないか、ということだろう。そう、実際、夢日記を書いている夢の中では、確かに現実世界にいたと思っていたのだから。
 そしていま、それが夢だったと知って、このブログを書いている。だから、このブログを書いている世界こそが、現実世界として定義されるのだ。
 もちろん、この世界もまた、夢なのかもしれない。夢か現実かを絶対的に判断する方法はない。だからこそ、夢について考察している世界を、現実世界として再定義する他、夢と現実とを区別する方法はないのだ。
 なんだかわけのわからない文章になってしまったようだ。以上まとめると、夢と現実とは認識論的に非対称であっても、存在論的には非対称とはいえない、ということになるだろうか。
+++【お願いェブサイトにも著作権があります!引用の際はこのウェブの著者名:渡辺恒夫を明記の上、このURL名も必ず併記して下さい。+++

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