■4月28日(火)。夢の中でよく行く家にいた。
いつものようにその家の二階に不法に住み着いているのだった。
何十年か前のこの夢の家の始まりでは、何かの関係で正当に宿泊していたはずだったが。
そのうち、夢にこの家が出てくることが度重なるにつれて、滞在が長引き、不法占拠になってしまって肩身が狭くなったが、表だってとがめられたことは一度もない。(この夢の家の源といえば、ちょうど30年前に大阪天王寺の呑み屋の二階(三階だったかな?)に泊まった経験位しか思い浮かばない)。
今度の夢では、三年前に世を去った母もいて、同じ家に住んでいるのだった。
最初の方は憶えていない。そのうち、同じ階の反対側の、いつもは行かない区画に足を踏み入れていた。畳敷きの大広間になっていて、「ニフティ様御一行」といった立札が立っていた。ニフティが借りきっているらしい。
それから記憶の欠落があり、次の場面では外出から戻ってみると、家全体に工事用の青いシートがかけられ、巨大なブルトーザーが家を根こそぎにしようと動き出しているのだった。とうとう、最後の日が来たのだ、と思った。
眺めているうちに、工事現場の拡声器が、「渡辺さん、現代思想から電話がありました」と、呼び出しをかけてきた。そういえばこの夢の前の方でも何度か、この件を聞いていたが、今まで無視してきた(ちなみに『現代思想』には、2003年に一度書いたきり、ご無沙汰してしまっている。)今度も取り込み中なので後回しにすることにした。
とにかく、家の中から、荷物を取り出さなければならない。下着類はまあいいとしても春物の紺スーツはもったいない(このスーツは、昨日明治への出講で何年かぶりで着たばかりだった)。そこで、青いシートをかいくぐって、家の中に入り込んだ。探し始めたところで、目が覚めた。
前日の小物(春物のスーツ)がさっそく夢に出てきたわけだが、それ以外は、ニフティだの現代思想だのが、なぜこの夢に出てきたのかは、連想しても手掛かりがない。
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■それよりも、数十年にわたって夢の中だけに出てきた、二階に不法に滞在している古い家が、この夢ではいよいよ取り壊されることになったらしい。
何度となく夢に出てきて、それも夢だけに出てきて、一種の超越的存在性を獲得していた古い家がである。
これって、もうこのシリーズ夢を見なくなるということだろうか。
見なくなったシリーズ夢といえば、大学院に入ったころから断続的に見ていた、地底の古文書を探究する夢があるが、高知にいたころ見たのを最後に、関東に出て来てからは見なくなってしまった。古文書が見つかったから見なくなった、ということでもないらしい。
二階を不法占拠している古い家の夢が、今後どのような帰趨となるかは、注意していなければならない。
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