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2015年2月21日 (土)

夢の現象学(81):宇宙的な夢を見て、現象学における「なぜ」の問いの意味を考察するの巻

■久しぶりに宇宙的な夢を見る。2015年2月20日。

 神々の階梯の中で、度量衡を司る地位にあったようだった。
 神々の一員として私は、なにかを「いじった」。すると、夜空に、星よりは明るいが月のような面ではなく点であるような輝点が、多数出現した。
 輝点は、正方形の格子状を成して、天空いっぱいに展開しているのだった。星よりも明るいせいか、高度は星よりも低く感じられる。
 
 次に思い出せる場面では、「猫と乗合馬車」が出てきた。
 乗合馬車の駅の待合室に、一匹の猫がいた。
 それから夢はまだまだ続くのだが、もう思い出せない。
 そのうち目が覚めた。
 ベッドサイドに置いたノートにキーワードを書きつけてまた眠った。
 再度目が覚めて、また面白い夢を見たのでメモしようと思っているうちに、また眠ってしまった。
 二度目に目が覚めると、二つ目の夢は完全に忘れてしまい、一つ目の夢のメモだけが残っていた。これを手掛かりにこうして書いている。
■一つ目の夢の前半に自由連想法を施す。
 すると、5日前の15日(日)にツタヤで見つけて読んだ『累』というマンガにあった場面が思い出された。「銀河鉄道の夜」の芝居を高校生が練習していて、「プレアディス、‥‥」とか星座の名を呼ぶ場面だった。
 ひょっとしてこれが星空の場面に影響しているのなら、一週間後に現実の要素が夢に取り込まれるピークが来るという、フランスの夢科学者ジュヴェらの説に合う(現代のニールセンらの研究では直後が第一のピークだから第二のピーク)。
 次に、後半の乗合馬車と猫の場面に自由連想をしてみる。
 すると、ジュヴェが書いた科学小説『夢の城』の主人公の貴族科学者が、東欧へ乗合馬車で旅行する場面が思い出された。この旅行で主人公は、現実の要素が夢に出てくるのに一週間かかるというタイムラグの自己観察をするのである。また主人公は、睡眠中の猫が定期的にヒゲをピクピクさせるのを観察して、レム睡眠を発見した、ということになっている。18世紀が舞台だが。
 けれども、この連想は飛躍しすぎだ。夢の中で夢主(私)が、ジュヴェの、一週間後に現実要素が夢に出現するピークが来るというタイムラグ説を、まさに夢の中で気がついて、さらに『夢の城』を連想してその中の要素によって次の夢を構成した、といった、無理な設定になってしまうから。
 それと、神々の階梯の中に私自身が位置づけられるとは、いったい何なんだろう。連想されるのは、10年以上前、カナダ在外研究中に毎晩のようにテレビで見ていた『ドラゴンボール』に出てくる、「界王」のヒエラルキーぐらいなのだが。
 さらに、度量衡を司る神、というのは一体何か。そういえば、4、5日前に日経新聞で読んだ、度量衡の基準を百年ぶりぐらいに、より現代の原子物理学に基づいたものへと見直すという、記事が連想される。
■こうして、夢の材料の現実での由来が連想によって明らかにされると、夢の構成過程についての仮説が立てられる。
 レム睡眠時のPGO波で記憶がランダムに撹拌されて、10年前に見た『ドラゴンボール』の界王のヒエラルキーが浮かび上がった。
⇒自分をそのヒエラルキー中に位置づけた。
⇒4、5日前の日経記事からの連想で、自分を度量衡を司る神とした。
⇒4、5日前に読んだ『累』からの連想で、神のわざが星空の変容として具体化した。
⇒これらの場面の要素が4、5日前の現実世界に由来することを(無意識のうちに?)夢主が看取して、ジュヴェの、タイムラグ説を連想した。
⇒ジュヴェの小説の中の乗合馬車と猫が登場した。
 だからといって、なぜこのようなストーリー(物語)になったかが、解明できたわけではないのだが。
■現象学で「なぜ」に答えるのは「説明」ではなく「解明」である
 ここで、「なぜ」に答えるのは現象学の仕事なのか、という疑問が湧く。「なぜ」に答えようとするのは、「結果」に対する「原因」を求める、因果説明になってしまい、現象学にならないのではないか、と。
 けれども、直ぐ前のブログ記事にPDF版をアップロードしておいた印刷中論文「他の誰かになる夢と間主観性」では、なぜ夢世界では他者に変身できるのか、という問いに答えようとしているではないか。参考までにPDF版を、ここでも

「JokomiKenkyuNo15WatanabeT_inprint.pdf」をダウンロード

しておく。
 「なぜ」への答は、クラウス・ヘルトによって批判的に再構成されたフッサール他者論では、他者への独自の志向性である向現前化が、実は2種類の準現在化の協働にほかならない、というところに求められたのだった。
 つまり、夢世界の現象に対する「なぜ」への答えは、向現前化という最も基底的な現象学的構造が、現実世界と夢世界とで相違している、というところに求められたのだった。
 夢世界では、現実世界での準現在化対象が、片っ端から現在化する。
 だから、二種類の準現在化の協働から成る向現前化であるはずの他者も、現在化するが故に現前化する。つまり、他者へと変身するのである。
 ただし、夢の中に出現した他者という他者に、片っ端から変身するわけではないので、どんな条件でどんな他者に変身するかが、次の課題となる。これについては印刷中論文の末尾でも示唆しておいたが、どうやら私は「主役」へと変身する傾向があるらしい。
 以上の考察を踏まえると、「なぜこのようなストーリーになるのか」という「なぜ」への解答もまた、より基底的な現象学的構造に求めるべし、ということになってくる。
 そして、このように、現象への「なぜ」に答えるのを、より基礎的基底的な現象学的構造に求める解答の仕方を、現象学的解明というのである。(2月22日、夜)
■まとめ:説明と理解と現象学的解明
 まとめよう。
 説明(explain, explanation)ーー個別事象を一般法則に包摂すること。これによって、過去へ向かっては「原因による説明」が、未来へ向かっては「予測」が、可能になる。地震学が、原因による説明に成功しても地震予知に成功しないのは、説明科学として未熟なのである。
 理解(understanding, comprehension)ーー「理由」による説明。「彼女が窓を開けたのは部屋が蒸し暑いからだ」というのが、理由による説明である。理由による説明と原因による説明が異なることは、前者が目的論的説明でもあることに留意すればたやすく分かる。「彼女は部屋の蒸し暑さを減じる<ために>窓を開けた」というように、「ために」のカテゴリーが使われているから。
 現象学的解明(explication, elucidation)ーー個別的現象を、より基底的な構造に還元して理解すること。たとえば、「なぜ私は現実にはハリー・ポッターに変身できないのに、夢の中では変身できるのか」という、個別的現象に関する問いに対し、「現実界では自分がハリー・ポッターだと想像しても、想像にすぎないという意識と二重になっているから、確信の域まで行かない。ところが夢世界では意識が一重だから、ハリー・ポッターだと想像すればそう確信することになってしまう」と答えること。現実世界と夢世界の最も基底的な構造の違いに還元して個別事象を理解し説明するのが、現象学的解明であるといえよう。(3月3日の追加)
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