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2014年5月22日 (木)

フッサール心理学(24):7月に出る新著のタイトルが決まるの巻

■2014年5月20日
 7月に北大路書房から出る新著のタイトルが『他者問題で解く心の科学史』に正式決定した。『フッサール心理学宣言』(講談社)を出したのが、昨年2月だった。こんなに早く、いわばその姉妹篇を出せるとは思わなかった。
 とりあえず、「あとがき」の最初の部分を、ここに紹介しておこう。
■『他者問題で解く心の科学史』(渡辺恒夫著、北大路書房、2014年7月刊予定)「あとがき」より:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 本書は、「他者とは何か」という問題意識によって、心理学・心の科学の、歴史を解明し現在を診断した、私の知る限り初めての本である。
 心理カウンセラーや医療従事者など対人支援にかかわる人はもとより、認知科学や脳科学の実験家、社会学・人類学の調査者にしても、「他者」をまず相手にするのである。
 それなのに、「他者とは何か」という問いに無関心なままで、心理学・人間科学の歴史や「基礎」がいままで論じられてきたのは、まさに信じがたいと言うほかない。
 他者問題にはまた後で戻るが、ともあれ、書き上げてみると、本書で言っていることはごく単純なことになった。
 ガリレオに始まる近代科学の精神では、知識というものは権威や社会通念や言い伝えを元にするのでなく、自分自身の直接の観察を源にしなければならないのだった。
 科学はこの方法を自然(ネイチャー)の探求に適用し、自然科学として大成功を収めた。そこで同じ方法を人間性(ヒューマン・ネイチャー)の探求にも適用しようということで、心理学を始めとする人間科学が誕生した。
 ところが、どうしたことか、うまく行かなかった。
 その原因を究明すべく、数え切れないほどの人間科学論、心理学論が書かれた。
 私の見たところ、それらおびただしい論考は、おおむね的外れであった。肝腎の、〈躓きの石〉が見えていないのだから。
 人間科学と心理学の躓きの石は、鉱物や昆虫とちがって、〈人間〉は直接観察されない、というところにある。
 本文でもくりかえし述べたが、私が直接観察するのは〈自己〉か〈他者〉かのどちらかである。昼間、私は大勢の人々を見た。正確には大勢の〈他者たち〉を見たのである。そして夜、ひとりになって〈自己〉と向き合うのである。自己でも他者でもない〈人間〉になど、出会ったことは一度もない。
 近代科学の精神は、直接観察から出発する。〈人間〉は直接観察されない。そのミスマッチゆえに、人間科学は挫折を運命づけられて出発したのであり、その三世紀間の歴史は、際限ない分裂と迷走と(プロローグに引いたドレイファスの言葉を借りるならば)堂々巡りと、そしてヘリクツの歴史となったのだった。 (以下略)
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