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2011年8月24日 (水)

独我論の現象学(7):ヘルトによるフッサール批判を知り、私が三歳の幼児として自明性の世界の只中に誕生したことを思うの巻

■ヘルトによる「デカルト的省察」批判を知り、再び、フッサールこそ遍在転生観の先駆者であることを認識した。

 「夢の現象学(17):フッサールこそ遍在転生観の元祖であることを発見したの巻」で、私は、『デカルト的省察』でのフッサールが、他我を自我の「時間化」として理解しようとしていることから、自我の時間化としての他者とは、私の転生に他ならず、従ってフッサールこそ遍在転生観の元祖として理解できる、といったことを書いた。

 ところで、最近、谷徹さんの『意識の自然』を読んでいて、ヘルトによる『デカルト的省察』の批判を紹介した次の後註が目にとまった。

「‥‥ところがフッサールは、自分が行った措定と擬似措定の区別を混同している。どうしても客観的時間のなかに他者の存在を措定しようとするならば、客観的時間のなかの別の時点(過去あるいは未来)になってしまう。つまり、他者の存在は過去的か未来的になってしまって、現在的な他者の存在は構成されない。これがヘルトの議論である。」(p.702)

 これを読んで即座に、ヘルトの批判は、ヘルト自らが思っていた以上に正しい、と私は思った。なぜなら、この批判は、フッサールが、他者の存在論的地位を(期せずして)正確に示したことを、見事に言い当てているからだ。

 やはり、フッサールこそ、期せずして、遍在転生観の先駆者となってしまっているのだ。遍在転生輪廻説の主張の最低限の要件は、他者とは時間を異にした私である、という点にあるからだ。

■私は三歳の幼児として自明性の世界の只中に誕生した!?

 また、この「意識の自然」での、原自我から、母の身体からの逆移入によって自我と他者とが構成されると言う、発生的現象学的な説明を読んで思ったことは、谷さん自ら「現象学と言うより発達心理学」と弁解しているように、これは現象学ではないと言うことだ。

 現象学とは、一人称的視点をもって反省的に遡行できる範囲内でしか、成り立たないからだ。母の身体からの逆移入によってそこから自我と他者が構成される原自我とは、端的に、私ではない、としか言いようがない。

 私の記憶は三歳の頃まで遡られ、そして、記憶を遡る限り、そこには常に自我体験・独我論的体験が、存在していたような気がする。

 つまりこれは、私はある日のこと、「三歳児としての渡辺恒夫」として、突然、この世界に出現した、ということを意味するのだ。これが、「第二の誕生」ということなのだ。それ以前の二歳児や一歳児としての「原自我」としての渡辺恒夫は、「ただの渡辺恒夫」であって「私」ではない。

 私は、ある日突然、自明性の世界の只中に、三歳児の渡辺恒夫として出現したのだ。したがって、自明性の世界の成り立ちを、つまり間主観的世界の成り立ちを、現象学的に説明することはできないし、する必要もない。科学的(三人称的)発達心理学に任せて置けばよい。

 現象学的発達心理学といった企てがもしありうるとしたら、それは、私が、自明性の世界の只中への出現の後、この世界の横腹を、いかにして食い破ってきたか、の説明を試みるものでなくてはならない筈ではないか。

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