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2009年11月 2日 (月)

夢の現象学(17):フッサールこそ遍在転生観の元祖であることを発見したの巻

■フッサールこそ遍在転生観の元祖であることを発見したの巻

11月2日 8月にトロントのアメリカ心理学会で発表した前夜にフッサールの『デカルト的省察』を読み始め、その後、『ヨーロッパの学問の危機と先験的現象学』(細谷恒夫訳、中央公論社、1980)を、長い間かけて読み、今日、読了した。

 30年前に一度読んだときには全く見えていなかった多くのことが分かってきた。

 フッサールは続く現象学者(シェーラー、ハイデガー、サルトル、メルロー・ポンティ)に比べて、比較にならないほど、自他問題の謎の深さに困惑し、それ故に、謎の深さに肉薄していたことの発見がまず第一だ。

 次に、通俗的なフッサール解釈では、『デカルト的省察』では他者問題の解明に失敗して独我論的になったが『ヨーロッパの学問の危機と先験的現象学』ではそれを乗り越えた、といった言説がまかり通っているが、両著の間で、他者解明へのスタンスは全く変わっていない、という発見が第二だ。

 フッサールにおける他者解明へのスタンスとは何か。それは、他者とは私の時間的変様としてしか、理解できない、ということなのだ(註1)。

 私は、昨日の渡辺恒夫が私であって意識がある、ということを理解できる。それと同様な仕方でのみ、同時的に存在する他者に意識がある、ということを理解できる、というのが、フッサール他者論の骨子なのだ。

 つまり、他者に意識があるとは、過去の私に意識がある、ということと同じ事態なのだ。この論法を徹底すればどうなるか。他者とは過去の私である、ということになる。もっと普遍化して言えば、他者とは時間を異にした私のことである、ということになる。これこそ、遍在転生観(註2)以外の何ものでもない。

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註1 「[相互主観性とは]また一つの時間化なのである。それはすなわち、自我極の時間化なのであるが‥‥」(『危機』訳書、p.548)。「教えられるところの多い一つの比較を引き合いに出すならば、私固有のものの内部においても、しかもその生き生きした現在の領分の内部においても、今の場合と同じように、私の過去は想起によってのみ与えられる。それは想起において、過ぎ去った現在として、すなわち[現在の]志向的変様として特徴づけられる。過去を現在の変様として経験的に確認することは必然的に再想起という調和的綜合において行われそのようにしてのみ、過去は過去とし確認される。想起によって与えられる私の過去が私の生き生きした現在をその変様として超越しているのと類比的に、共現前する異なる存在は(原初的に固有なものといういまの純粋な最低の意味において)自分固有の存在を超越している。」(『デカルト的省察』浜渦辰二訳、岩波文庫、p.207)

註2 遍在転生観。全ての他者は自己の時間的変様であり、平たく言えば自分の過去か未来である、という死生観。自己宣伝は好きではないが、最近、歳のせいか自分の学問についての責任を感じるようになったので、自分の文献を紹介しておく。『<私の死>の謎』(ナカニシヤ出版、2004)、『輪廻転生を考える:死生学のかなたへ』(講談社現代新書、1996、絶版) に詳しい。

*******この項、続く******

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