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2007年12月 9日 (日)

児童期の独我論的体験を語った作家、増田みず子

 先日、森万紀子について書いた勢いをかって、もうひとりの女性作家、増田みず子について書いておく。なぜなら、この作家は、児童期の独我論的体験について明瞭な形で回想を語っている、私の知る限り日本ではほとんど唯一の作家だからだ。
 この回想は、『麦笛』(武文庫)の付録として付けられた、河野多恵子との対談の中に出現している。もう20年ばかり前に読んでびっくりして、その後、青土社から出ていた今はなき『イマーゴ』誌に書いた「独我論者は対人恐怖か?」にも引用したし、『輪廻転生を考える』(講談社現代新書)にも引用しておいた。ここに、リンクを貼っておいたが、これは、『<私の死>の謎:世界観の心理学で独我を超える』(ナカニシヤ出版)での引用をPDF版にしたものだ。
 この作家のものは、最近、『夜のロボット』を図書館で見つけ、題名に惹かれて読んだ。独我論的体験回想の中に、他人は皆、ロボットではないか、といった言葉があったので、それと関係があるのかと期待したのだが、無関係だった。せっかくの児童期の独我論的体験を、充分に生かしていないのではないかという気がする。比較するのもおかしいが、森万紀子作品に回想の形の独我論的体験が現れないのは、すでに他者の非存在を生きているので、語る必要を感じないということなのだろう。
 いささか不満めいたことを書いたが、独我論的体験を語った貴重な作家であることは変わりない。実は代表作の『シングル・セル』もまだ読んでいないという怠慢な読者なので、そのうち暇を見つけて、ボチボチ当たってみよう。


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