2018年10月20日 (土)

フッサール心理学(51):涼宮ハルヒは自我体験の夢を見たか

■涼宮ハルヒは自我体験をしたか? ハルヒワールドのことを考えながら歩いていると、...

» 続きを読む

2018年10月 5日 (金)

夢の現象学(149):「現実世界での過去の夢」が「夢世界での現実の過去」になるの巻/大聖堂様式の三越のファサードで重量を支えるスフィンクスが立ち上がるの巻

■2018年9月22日(土)。早朝。(11月下旬のはずの)質的心理学会沖縄大会に...

» 続きを読む

2018年9月14日 (金)

フッサール心理学(50):『涼宮ハルヒの消失』に感動し、「優しい忘却」の歌詞を掲げるの巻/コミュ障の現象学から見た長門有希

■劇場版『涼宮ハルヒの消失』をDVDで月曜の夜に見て以来、3日。いまだ感動から醒めやらずにいます。

 ことの発端は、『人文死生学宣言』(春秋社、2017)を共に編集した三浦俊彦氏から、新著の『エンドレスエイトの驚愕』(春秋社、2018)を贈られたこと。
 「涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ」論なのですが、今までこのアニメシリーズを見たことがなく、それじゃ見なくちゃ、と世田谷に泊まり込みに行くたびにツタヤから借り出して、9巻目か10巻目。まがうことなき名作に出会ったのです。

 ハルヒシリーズは、宇宙人と未来人と超能力者しか興味がないという女子高生涼宮ハルヒが、退屈しのぎに超常現象を見つけ出すために結成した、SOS団という北高サークルが中心となって進行します。
 団員は他に4人ですが、語り手のキョンだけが普通の男子高校生で、他はハルヒの願望通り、宇宙人(長門有希)と未来人(朝比奈みくる)と超能力者(古泉)から成ります。宇宙の進行を乱す潜在能力を秘めたハルヒを監視するために、それぞれの「組織」から遣わされたのです。
 キョンはその正体を打ち明けられています。現にハルヒの巨大な潜在能力のせいで、閉鎖空間に閉じ込められて透明巨人が暴れたり、夏休みの期間が回帰して終わりなき夏休みになったりします。そのたびに、宇宙人と未来人と超能力者の必死の修復作業で元に戻るのですが、ハルヒだけは気づいていません。退屈な学園生活が続いていると思い込んでうんざりしているのです。だから「憂鬱」とタイトルについているのです。

■10巻目ぐらいに現れる『劇場版涼宮ハルヒの消失』では、ある朝、キョンが登校すると、ハルヒの姿がないばかりか、誰もハルヒも古泉君も知らない、ということになっている所から始まります。
 上級のクラスにいる朝比奈みくるに会いに行っても、SOS団のことなど知らない、と言われる始末です。

 やがてハルヒと古泉君は、北高ではなく別の高校の生徒になっていたことが分かります。やはり二人とも、SOS団のことなど知らないというのです。

 最後の望みをかけて、キョンはSOS団の部室に向かいます。そこは元々文芸部の部室でしたが、唯一の部員だった長門有希もろとも、「元の世界」のハルヒが乗っ取って、SOS団の部室にした部屋だったのです。
 ドアをあけると、居ました。眼鏡をかけた長門有希が、いつもの通り本に読みふけっています。無口で非社交的で鬱なキャラもそのままに。
 やがて、キョンは大変なことに気づきます。
 元々、長門有希の正体は、銀河を統括する情報統合思念体のヒューマノイド型端末だったはずです。ところが今や、人間になっていることに気づいたのです。無感情なアンドロイドだったはずが、感情豊かで内気な文学少女になっているのです。そして、「文芸部入部届」という書類を恥ずかしそうにキョンに渡します‥‥

■元の宇宙人長門有希が残していった手がかりを辿って、キョンにも真相がつかめてきました。
 SOS団の騒がしい団長、ハルヒのいないこの世界は、長門有希の巨大な能力によって元の世界から分岐した時間流だったのです。
 でも、何のために任務に背いてまでそんなことをしたのでしょうか。
 元々、長門の能力は三人の中でもぬきんでていました。その能力によって世界の崩壊を防ぎキョンを守ってきたのです。けれどもキョンの関心は派手なハルヒや朝比奈みくるに向かい、無口で無表情の長門の働きは当然視され、存在も無視されてしまっていたのです。
 そこに、アンドロイド型端末だった筈の長門の感情が、自我が目覚めたのです。
 きっと長門有希は、ハルヒのいない世界で、キョンに恋してみたかったのでしょう。
 でも、キョンは、元の、ハルヒとSOS団の、てんやわんやの世界の方を選びました。元の世界の長門がキョンに選択肢として残していった鍵を使って。
 せっかく長門有希が人間の少女として生き始めた世界は、こうして消え去ったのです。

■やがて感動のラストシーンが来ます。
 元のアンドロイドに戻った長門と並んで、雪が舞い出す中で、キョンは「ゆき」と口走ります。これまで長門有希を、「長門」としか呼んで来なかったキョンがです。でも、続けて、「ゆきが降ってる」と言うのです。
 この場面で長門有希役の茅原実里によって歌われるエンディングソングを引用しておきます。有希の切ない想いそのままの歌詞ですね。「消える世界にもわたしの場所がある」なんて。インターネット上では、この場面で泣きましたという記事が少なからず検索できますが、同感です(なんだかアンデルセンの「人魚姫」を思わせる話だし)。

「優しい忘却」
望むことは何?
わたしが問い掛ける
なにもいらない 嘘ではなかった
消える世界にも
わたしの場所がある
それをしらない 自分でさえも
閉じ込めた意識は

Nagato2d2e5c33e4c99f09dc3337cb1f0_3

時を結び
願いを繰り返す
また会うまで 忘れないで
巡る日々の中
わたしに残るのは
記憶 それとも 忘却だろうか
やがて世界には
眠りが訪れて
ひとり ひとりの あしたに帰る
選ばれた未来を
見送る扉
願いが叶っても
忘れないで 忘れないで
消える世界にも
わたしの場所がある
それを知らない 自分でさえも
思い出すまでは…
(作詞:畑亜貴
作曲:伊藤真澄
編曲:虹音
歌詞原案:谷川流
歌:長門有希[茅原実里])
(『公式ガイドブック 涼宮ハルヒの消失』ニュータイプ編、角川書店、2010、pp.172-173)
:
■「コミュ障の現象学」から見た長門有希
 三浦さんのような分析哲学的アプローチとは別になりますが、私は長門有希という魅力的なキャラに、始めたばかりの「コミュ障の現象学的当事者研究」の視点から*、深甚なる興味を覚えました。
  *「コミュ障(人づきあいが苦手)の批判的ナラティヴ現象学」(渡辺恒夫著)という論文が、『質的心理学研究』(№18)に掲載予定です。2019年3月、新曜社より発売予定。
 ラスト近く、すべてが長門有希の暴走の結果だと知ったキョンは、こう独白します。
 記憶をたどって引用するとーー「なんで情報統合思念体ともあろうものが、長門にもっとちゃんとした設定をしてやらなかったんだよ。あんな無口で鬱な娘なんかでなくって、朝倉涼子(註:情報統合思念体反主流派が送り込んだヒューマノイド型端末)みたいに、社交的でクラスでも人気者にだって設定できたのに‥‥」(註1)
 グサリときました。どんなに長門有希が「ルックスはA-級」に描かれ、しかもオタクたちの間でハルヒもみくるも及ばない人気を誇っているからといって、「ふつう」の高校生のキョンからしたら、「ちゃんとした設定ではない」としか見えないなんて。
 また、朝比奈みくるの大人ヴァージョンが、美貌で有能な時間パトロールとしてしばしば現れるのですが、その彼女にもまた、長門は、「あのひとちょっと苦手なんですけど」と評されます。
 なぜ苦手かを解釈すると、長門はガールズトークができないからです。
 ガールズトークに限らず雑談の会話というものは、録音してテープ起こしてみると、ほとんど意味をなしていないことが分かるそうです。だから会話の機能は情報を伝達することではなく、絆を確かめ合うことにある、というのが最近の学説です。
 長門は3年前に地球に「舞い降りた」のだから、絆などあるわけありません。
 それならなぜ、キョンとの間にコミュニケーションが成り立つのかというと、彼女は今まで、身を挺してキョンを護って来ました。それが任務だからです。
 コミュ障の特徴として、他愛のない雑談はできないが、仕事の上の会話はしっかりできる、ということがあります。
 長門はいわば仕事を通してキョンとの間に絆を作ったのでしょう。
 でも、ハルヒのいる世界では、彼女にとってキョンとのそれ以上のコミュニケーションは、極めて困難です。コミュ障は、三人という組み合わせを特に苦手とするからです‥‥
■長門有希に未設定の社交性機能って何?
 色々、考察をならべてきましたが、同じようなインターフェイス用ヒューマノイド型端末である、朝倉涼子は違っています。
 設定が違うのです。
 ウィキペディアを読んでいて、続編(涼宮ハルヒの驚愕)の紹介で、長門には社交性機能が設定されていず、自分でも残念に思っているらしい、といった記載が目に留まりました。
 社交性機能っていったいなんでしょう。
 これは、私自身への問いかけでもあります。なぜなら私もまた、社交性機能未設定のままで生涯を終えることになりそうだから。現象学的に厳密に言えば、「社交性機能未設定の渡辺恒夫が私である世界はそのまま遠からず終了になる」のだから)。
 だから「コミュ障の現象学的当事者研究」を始めたのです。

» 続きを読む

2018年8月18日 (土)

夢の現象学(148):教祖一代記を夢みてもう一つの現実を生きていた充実感が残ったの巻

■2018年8月1日。  夢記録ノートから写す。ノートに日付がないが、見たのは7...

» 続きを読む

2018年8月 8日 (水)

フッサール心理学(49):質的心理学会(沖縄)での「人文死生学シンポジウム」での企画趣旨案の巻

■今年(2018)の質的心理学会大会(沖縄県名護市、11月24日)で、「『人文死...

» 続きを読む

2018年7月25日 (水)

フッサール心理学(48):アンドレ・ジッドの自我体験(?)

■サルトルは『ボードレール』の中でこう書いている。 ‥‥誰でも幼年時代に突発的で...

» 続きを読む

2018年7月 4日 (水)

夢の現象学(147):夢を思い出そうとしているうちに一昨日の「フランス語圏発達心理学文献を原典で読む会」のことを思い出したの巻

■7月2日(月)。早朝、夢を見た。スケールの大きな物語が進行していたが、ほとんど...

» 続きを読む

2018年7月 3日 (火)

夢の現象学(146):夢3題(天文学の科学社会学/トイレの研究/巨大蛇が襲う)の巻

■2018年6月12日。夢を見た。天文学の科学社会学という講座を主催していた。白...

» 続きを読む

2018年6月 9日 (土)

夢の現象学(145):拙著『夢の現象学・入門』のエピグラフに、よりふさわしかったボルヘスの詩の巻

■2018年6月8日。図書館で、『ボルヘス詩集』を何気なくめくっていると、「夢」...

» 続きを読む

2018年6月 8日 (金)

夢の現象学(144):核攻撃を受けた夢から覚めた後も10秒程本当だと思い続けたの巻/三連続続きの夢を見たの巻

■2018年5月19日朝。会議室のような所にいた。何かの研究会らしかった。と、な...

» 続きを読む

2018年4月27日 (金)

フッサール心理学(47):ボーヴォワールの自我体験(意識の超難問体験)の巻/夢の現象学(143):恐竜のような長い首の列車に乗って高知に行くの巻

■シモーヌ・ド・ボーヴォワールの自伝シリーズ『決算のとき』の冒頭に、深い自我体験...

» 続きを読む

2018年3月17日 (土)

夢の現象学(142):北極圏の街にいた夢の巻/ダライラマの花嫁の夢の巻/

■2018年3月15日。朝。北極圏の街にいた。アラスカらしい(と思ったのはひょっ...

» 続きを読む

2018年3月 5日 (月)

夢の現象学(141):高校時代のクラスメートの家を訪ねるの巻/オープンアクセスジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』が創刊に向けて原稿募集中

■2018年3月4日。朝。氏原君の家を訪ねる夢。氏原君とは高校時代のクラスメート...

» 続きを読む

2018年2月28日 (水)

夢の現象学(140):殆ど巨樹一本から成る鎮守の森の巻/オープンアクセスジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』が創刊に向けて原稿募集中

■2018年2月24日朝こ  小さな神社の鎮守の森にいた。この森がどうやら、殆ど...

» 続きを読む

2018年2月17日 (土)

夢の現象学(139)双頭の犬の巻/『こころの科学とエピステモロジー』創刊号に向けて原稿募集中

■2018年2月14日朝  最初の方は憶えていない。犬を連れて競走をしているよう...

» 続きを読む

2018年2月 3日 (土)

新感覚のオープンアクセスジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』が、創刊に向けて原稿募集中です

●●●新感覚のオープンアクセスジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』は、創...

» 続きを読む

夢の現象学(138):『失われた時を求めて』の語り手の幼少期はフッサールだという思念にウトウトしかけて落ち込んだの巻

■2018年1月28日(日)。朝6時ごろ。  京都にいた。私を知っているという女...

» 続きを読む

2018年1月22日 (月)

人文死生学研究会HP開設のお知らせ

■2018年1月22日 人文死生学研究会HPを開設したのでお知らせします。  下...

» 続きを読む

2018年1月13日 (土)

夢の現象学(137)アインシュタインと握手するの巻/人文死生学研究会を『人文死生学宣言』の出版記念シンポジウムとして開催するプラン

■2017年1月13日。明け方。アインシュタインと握手し、話もした夢。  夢の中...

» 続きを読む

夢の現象学(136):地底にらせん状に降りてゆく身体感覚、高知新聞記者二人の名が思い出せない、など夢4題の巻

■2017年12月29日(金)。朝7時。夢を見た。研究者・著述家と編集者の集まり...

» 続きを読む

2017年12月27日 (水)

夢の現象学(135):地平を備えた夢(その2)の巻/『人はなぜ夢を見るのか』(化学同人)の韓国語版が出たの巻

■2017年12月25日。夢を見た。例によって最後の場面しか憶えていない。  大...

» 続きを読む

2017年12月15日 (金)

夢の現象学(134):地平(Horizont)を備えた夢の巻/サルトルの夢理論(その2)の巻

■フッサール現象学でいう地平(Horizont)を備えた夢を見た。  右手に林が...

» 続きを読む

2017年12月 9日 (土)

夢の現象学(133):続きの夢を久しぶりに見るの巻/サルトルの夢理論の巻

■2017年12月9日(土)。早朝、目覚めてすぐ、スマホにキーワードを打ち込む。...

» 続きを読む

2017年11月14日 (火)

夢の現象学(132):卒業式の夢は自分の死の象徴だの巻/『人文死生学宣言』の宣伝用リーフレットの巻

■11月4日(土)、朝。夢を見た。  卒業式の予行演習の会場にいた。東邦大学らし...

» 続きを読む

2017年10月31日 (火)

夢の現象学(131):小公子が7人いたの巻/馬の代わりにライオンが牽く馬車の巻/近著『人文死生学宣言』の装幀が出来たの巻

■2017年10月24日(火)。早朝4時ごろに目を醒まし、スマホに次の3つのキー...

» 続きを読む

2017年10月20日 (金)

夢の現象学(130):50年以上前の下宿屋の一室に現在時として戻ったの巻

■2017年10月11日(水)。夢の中では京大に入学して最初に下宿した元田中の部...

» 続きを読む

2017年10月 7日 (土)

夢の現象学(129):駅での別れが永訣を予感させる夢の巻/近著『人文死生学』の表紙がデューラー「騎士と死と悪魔」に決まったの巻

■2017年10月7日。賑やかな夢を見たが、最後の場面しか思い出せない。駅での別...

» 続きを読む

2017年10月 4日 (水)

夢の現象学(128):夢3題の巻/バイエルン歌劇団『魔笛』観劇の巻/電子ジャーナル(こころの科学とエピステモロジー)の創刊準備号が発行されたの巻

■2017年8月29日(火)。夢をみた。私は安倍内閣の書記官の一人らしかった。色...

» 続きを読む

2017年9月 6日 (水)

フッサール心理学(46):アレクサンドリアの女性哲学者ヒュパティアを描いた『ハイペシア上・下』(春秋社文庫、昭和10年刊行)をついに読んだの巻

■『ハイペシア(上・下)』(チャールズ・キングスレー作、村山勇三訳、春秋社文庫、...

» 続きを読む

2017年8月16日 (水)

フッサール心理学(45):『こころの科学とエピステモロジー』というオープンアクセスジャーナルを発刊するの巻

■有志と図って創刊を準備していた、電子ジャーナル『こころの科学とエピステモロジー...

» 続きを読む

«夢の現象学(127):高知に大火が迫る緊迫した夢の巻/下手なSFのような夢の巻

電子ジャーナル:こころの科学とエピステモロジー

ブログの主の最新刊

無料ブログはココログ
2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

人文死生学研究会